ASD/ADHDの行動と対策 その1
■行動パターン
ASD/ADHDの子供はいろいろな行動ができない
(1)挨拶ができない
「事例」
親、親戚、先生、友達と出会ったとき、別れるときの挨拶ができない
友達や知人が帰るときに、見送りもせずに、自分のことをしようとする
「いただきます」「ごちそうさま」などの慣用的な挨拶をしない
なぜ挨拶しないのか聞くと、挨拶する意味がわからないとのこと
「考察」
よく考えると挨拶は実に社会的暗黙知の行動である
「なぜ挨拶をするの」と考えると、
・相手と社会的に共同しているから
・コミュニケーションを円滑にするため
と思うが、自閉症の人にとっては違う
・他人とのコミュニケーションをする意味が分からない
理由をいろいろ説明したが、根本的に自分のことだけをしたいと考えている
他人に対する気配りを理解できないようだ
仕方ないので以下の対応をとった
・本人には行動ルールとして挨拶、見送りするよう説明した
・挨拶の機会がある度に、挨拶できていないときは、挨拶するよう指導した
・朝は挨拶をしない場合、返事の挨拶をするまで何度も本人の目の前で「おはよう」を繰り返す
・親が帰ったときに「おかえり」が言えないときは、返事の挨拶をするまで何度も本人の目の前で「ただいま」を繰り返す
>他の挨拶も同様
・別れるときは見送りするまでが別れることであるという説明をした
友達、知人が帰るとき、見送りを忘れている場合は、「見送りがまだ残っているから」と伝える
(2)片付けができない
食事、着替え、ゲーム、読書、勉強など、何かを出して、何かを片付けるという作業をするときに、出すことはできるが、片付けができない
なぜ片付けをしないのか聞くと、気がつかなかったとのこと
食べる、着替える、遊ぶ、勉強するなどの行動目的が達成できたら、そこで次の行動目的に移動してしまうらしい
仮説としては、作業の開始と終了が正しく認識できていない
たとえば、食事を例にとると、
1)食材を用意する
2)食事を作る
3)食器を出す
4)食べる
5)食器を片付ける
6)食器を洗う
7)食器を元の場所にしまう
と作業があるが、1)2)、6)7)は親がやるとして、4)食べるが行動目的であり、それ以降の作業は認知していない
お腹がすいたので食べる、という目的だけしか考えていないので、5)片付けるという作業は認知していないのだ
対策としては、物事の作業の終了条件を明確にした
・食事とは食器を片付けるまでのことである
・出したもので、もう使わないものは元の場所にしまうまで行う。
もう一つの特性として、目の前にあるものを正しく認知していないことがある>(3)へ
(3)探し物ができない、置き忘れする
ノート、道具、お金などの探しものができない
例えば、学校から配られたプリントを見つけられない、消しゴムが見つからない など
行動パターンを見ると、
・本やノートの束の一部分しかめくらずに、ここにはないと判断して他を探してしまう
>正しくは紙の束を1枚づつめくったり、ノートや紙の間を探せばよいのだが、細かい作業ができない
・複数の道具がある中に、消しゴムが置いてあるのに、または隠れているのに気がつかない
>消しゴムの形とよく似ているものをパターン認識して、似ているものを一つ一つ確認していく、
という探す作業が苦手である
特に何かの影に隠れていたり、一部分しか見えていないと探しているものだと想像できないようだ
対策としては、探し方のパターンを教えたのと、探しやすくするために整理することを教えた
・探し方
・紙の束は1枚づつめくって探す
・紙や本の間も探す
・物陰に隠れていないか、めくってみる
・最後に使った場所を思い出す
・探しやすくするための整理
・本棚、書類棚、クリアファイルなど用意して、置く場所を明確にした
→効果はあった
・クリアファイルは色つきのものを用意し、目的別に使えるようにした
→あまり効果はなかった